
EAP (緊急時対応計画) の作成について
EAPとは、ケガや深刻な病状などの緊急事態の際に迅速に対応できるよう、関係各位を調整するために文書化した戦略的・視覚的な計画です。
スポーツ分野におけるEAPの重要性は理解していても、具体的にどのように作ればいいのか分からないという専門家も多いのではないでしょうか?
指導者
「我々がみているのはユースチームなので、医師や看護師、アスレチックトレーナーなどの専門スタッフがいないからEAP作成は難しい……」
先生
「EAPにエリア別マップがあれば分かりやすいけど、PCを扱うのが苦手なので作れない……」
EAPは多くの国で必須とされており、専門のスタッフがいない高校などの現場では講師が作成しています。世界的にEAPの利用が当たり前となり常態化するためにも、まずはEAP作成の知識を持つことが重要です。
EAPを作成する際には、まず初めにどのような緊急事態が発生するかを想定しておくことが大切です。緊急事態発生の際に救護の責任を果たすために必要な準備、それがEAPです。
スポーツの現場で起こる死亡事故の3大原因をご存じですか? 心疾患、頭頸部損傷、熱中症ですが、スポーツセーフティジャパンではこれらを「Heart、Head、Heat」のトリプルHと呼んでいます。このほか、骨折や脱臼、落雷事故、プールなどでの水難事故も忘れてはなりません。
子どもたちにスポーツを教えている指導者でも簡単にEAPを作成できる方法を、5つのステップでご紹介します。
ステップ1:EAPに記載する情報の収集と記入
最初のステップは、記載する情報の収集と記入です。誰がどこにいて、何がどこにあるのか、どこに連絡すればいいのか、また各関係者の役割は何かといった情報が必要になります。
一旦EAPが完成したら、施設の安全責任者や施設管理人、周辺の医療機関などに情報を共有し、連携の協力を要請する必要があります。情報共有と連携がEAP完成後の鍵となります。
EAPに盛り込まなければならない必須コンテンツは以下の通りです。
施設・エリアごとの地図とそれぞれのルート
救急救命用具の設置場所
基本情報(大会名、施設名、住所など)
緊急連絡先(緊急対応者、タクシーや病院などの緊急連絡先)
役割分担
ステップ2:施設(エリア)別マップの作成
ステップ3:施設(エリア)別マップに必要事項を記入
必要な項目が記載されていても、分かりにくければ迅速な対応ができません。スポーツ現場によっては、応急処置の設備や人員により緊急時の対応が異なる場合があります。また、観客を安全な場所に誘導するためのアナウンスや誘導方法を明確にしておくことも必要です。
ステップ4:役割分担を記入
スポーツ現場で緊急時に果たすべき役割は「処置」「連絡」「調達」「誘導」の4つです。これらは誰が緊急事態に遭遇したかによって異なる場合があります。試合中に選手が倒れた場合は指導者や審判が中心となって対応しますが、観客が倒れた場合は大会運営者や施設管理者が率先して対応します。
また、指導者である自分自身が倒れる可能性を想定し、その状況が指導している子どもたちに与える影響に配慮することも大切です。
ステップ5:シミュレーション訓練によるEAPの検証と反映
EAPが完成したら、緊急事態が発生したという想定で必ずシミュレーション訓練を行い、計画通りに対応できるかどうかを検証してください。問題があった場合は、問題点を洗い出してその内容をEAPに反映させましょう。
*参考文献一覧:
- Emergency 999, Scouts (2022)
- スポーツ現場におけるエマジェンシー・アクション・プラン(EAP)の作成方法をまとめました, スポーツセーフティジャパン(2020)
- Sunbears【公式】note (2022) 『EAP(緊急時対応計画)の作り方』
- Sunbears Blog on Medium(2019)Are You Prepared for an Emergency? - Annual Sports Safety Symposium 2019 - Tokyo, Japan